染色体異常不育症について
不育症は、染色体の異常が一つの原因となります。
染色体はすべての細胞の核の中にあり、ヒトでは46本あります。
染色体の構造異常があると、見た目や行動などは全く正常な方でも、精子や卵子など異常な配偶子を作り出してしまい、結果的に受精したとしても流産を繰り返すことになります。
何度も流産を繰りかえしている場合、染色体の一部が間違って結合している可能性があります。
不育症における夫婦染色体検査について
染色体変化の種類と頻度
流産または死産を繰り返している場合、そのうち全体の約5%にご夫婦のどちらかに染色体の変化があります。
染色体変化は、そのほとんどが均衡型転座または、不均衡型のロバートソン型転座です。
たとえ転座があった場合でも、染色体が欠損したり増加していないため、人間としてのハンデキャップはなく、 全く正常です。ただ流産率が約50%に増加するだけです。このような変化は約400人に一人の割合つまり200カップルに一組みの割合です。
染色体検査におけるルールおよび費用
必ずご夫婦二人一緒に受けていただきます。
ご夫婦のうち一人だけ行うということは決してしません。
またご夫婦のどちらかに染色体変化があった場合、どちらにあるかは言いません。
どのような変化があるかどの程度の割合で流産するかをお伝えするだけです。
妊娠は二人でするものですから、流産した時どちらに責任があるというものではありません。
当クリニックでは、平日と土曜日の午前中に夫婦の染色体検査ができます。
ただし、土曜日は翌々日の月曜日が祝日の場合は不可です。
費用は、2010年4月から保険の改正により、保険範囲内で一人約9,000円になります。
染色体検査の意味
私は染色体変化を持って流産を繰り返しきたご夫婦を、これまで約30組見てきましたが、そのうち約80%のご夫婦にお子さんがいらっしゃいます。
私も参加して行った日本における全国調査でも同じような結果になっています。
染色体変化は確かに直すことはできませんが、必ず流産するわけではなく、その妊娠で赤ちゃんに恵まれる可能性は約50%あります。その裏付けを持って妊娠に臨むことは大きな励みになります。